過ぎたるは及ばざるがごとし

 日本史の教科書における沖縄戦の記述をめぐる検定について「修正意見は妥当だが修正後の記述は妥当ではないと思っているようだが、しかしそれなら組合の先生が補うことを期待するのは属人的な要素に頼りすぎではないか」とのご意見を、先のエントリ「空気」を気にする日本人の精神主義的教育論 - Backlash to 1984のコメント欄で、たんおさんから頂きました。長くなったので、新たなエントリを起してお答えいたします。

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我をば何地に具して行かんとするぞ

 沖縄戦の語り継ぎ方として、(表面的な政治思想的なことではなく根っこの情感としては)尚古右派的なものも進歩左派的なものも、どちらも必要であると思います。ただし左派の語り口は「時を得て奢りを生じた」と思わざるを得ないものも多いです。右派的な語り口は白眼視にさらされながら、時に人目をはばかって押し殺すような呻くような、そういったものも掬い上げてはきたわけですが、左派的な語り口は非常に言いやすいから好きなだけ言えてしまったという面はあるだろうな、と。

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人民の、人民による、人民のための同調圧力(1)

 私はちょっと尚武なところがあって(本人はフニャフニャしてるんですが)、国防というものも非常に大事だと思っている。私の中では、医療・看護・介護・教育・治安・防災・国防という職務については尊びたい気持ちがある。そんな私だけど、たとえば非武装中立論とか反軍思想などについて、一笑に付すかといえばそうでもない。今回はinumashさんから送られたTBを読んで触発されたことをもとに、kechackさんによる「同調圧力」への問題提起にあらためて添ってみたいと思う。

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「空気」を気にする日本人の精神主義的教育論

 歴史教科書における沖縄戦の記述をめぐる検定意見に、またぞろ感情的な反発が起きているようだ。一般人に対して自決するよう軍命令が出ていたわけではないが多数の集団自決があったことは史実であって、それを誤解させないように記すべしとの意見が、なぜに「旧軍の関与を否定した」ことになるのか。このような主張は、それこそ、「集団自決せよとの軍命令があってはじめて旧軍がそれに関与したと言えるのであって、そのような命令がなかったのであれば、住民の集団自決に軍の関与があったことにならない」と主張しているのと同じであろう。つまり右派がそんな馬鹿げた主張をしているのではなく、実は左派こそが主張しているのも同然ではないか。

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正気と狂気の道徳論

 教育再生会議から出てくる話はつまらないが、それを扱った話にはおもしろいものが多い。このたび、二つのエントリを見ながら、ぼんやり思ったことを書いてみたい。

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