名前って、何だろうね

 平岡公威(きみたけ)が「三島由紀夫」で旅券(パスポート)を作ったら偽造パスポートだろう。だからといって平岡公威にとって「三島由紀夫」が偽名であるはずもない。


 するってぇと、三島由紀夫にとって「平岡公威」とは法における名であるから法名かというに、「法名」は別の意味になっちまうのでややこしや、である。彼の「法名」は「彰武院文艦公威居士」とのこと。



http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/991863.html
 名前って、何だろうね。本名に通名に偽名に法名

安倍晴明「なあ博雅……、この世で一番短い呪(しゅ)とは何だろうな」


源 博雅「この世で一番短い呪……? しかし何でおれが考える? おまえが教えるべきじゃないか?」


安倍晴明「さっき言ってやったろう? 名だよ」

 
源 博雅「おまえの晴明とか、おれの博雅とかの名か?」


安倍晴明「そう。山とか海とか樹とか草とか、そういう名も呪のひとつだ。呪とはようするに、ものを縛ることよ。ものの根本的な在様を縛るというのは名だぞ。たとえばおぬしは博雅という呪を、おれは晴明という呪をかけられている人ということになる。この世に名づけられぬものがあるとすれば、それは何でもないということだ。存在しないとも言える」


源 博雅「難しいな。おれに名がなければ、おれという人はこの世にいないということになるのか?」


安倍晴明「いや、おまえはいるさ。博雅がいなくなるのだ」


源 博雅「だが博雅はおれだぞ。博雅がいなくなればおれもいなくなるだろう?」


安倍晴明「…………。眼に見えぬものさえ名という呪で縛ることができる」
 
        *岡野玲子陰陽師』より