泳げ!にぼしくん

やっと梅雨明け、久しぶりに嫁と休みも合ったので家族で海へ。といっても我が家が海に行くときは、水槽で飼う小魚をゲットするためにいくのが慣わし。ところが先日のニュースによると、この長雨で大量の川水が流れ込んで近海の塩分濃度が薄くなり、なんかの菌が増殖していて、肝臓が弱っている人とか傷のある人とか、抵抗力が弱ってたら危ないと報道していたらしい。だからあんたが心配だと嫁は言うのだが(酒飲みだからということ)、「内海じゃないんだし大丈夫やろ」といって海へ。ところが、なるほど透明度ほとんどなし。小魚の気配もなし。海草も枯れているし。子供はそれが楽しみで来ていたのにガッカリ。仕方ない、今日はダメだと思って眺めていたら、ふと、あるポイントが目に入った。というか「呼ばれた」。あそこには、いるぞ!


早くも根を上げた次男を嫁に残して、未練たっぷりだったので「うん!あそこまで行ってみよう!」という長男を連れて、やや離れたその場所へ。見た目には変わりないようだが、潜ってみると水質が微妙に違う。うん、ここは死んでないぞ。そうして、なんだか藻がたまってるらしい黒ずんだあたりを網ですくおうとした、その瞬間、その黒ずんだあたりがいっせいに散った。無数の小さなものが流れるように散って動いた。そう、それは小魚の群れだったのだ。おお!と声を上げる親子。しかし網ですくってもすくっても、まったくかからない。目の前を無数に泳いでいるのに、敏捷すぎて、網にかからないのだ。


すると、常から「よゐこ」の濱口を尊敬してるという長男(小六)が「洞窟追い込み法」なる技を発明。洞窟ではないのだが、ちょうど浜から岩へ切り込んで奥行きが狭くなっているところに、その逃げ惑う群れの一部を追い込み、行き場を失って戻ろうとするのをザバッと網ですくうもの。これで、捕れるは捕れるは。捕ってみると、どこかで見た奴だと思ったが、あれですよ、にぼし。もちろんそれの生きたやつ。でも「鰯(いわし)」とはよくいったもので、バケツにはった水に入れる片端から、次々に死に始める。こりゃぁ、家に帰るまでに全滅かもな、と長男に言いつつ、死ぬ片端から食ってみたが、なんと言おうか、やっぱりにぼしの味がする。しかも生の新鮮なみずみずしい、にぼしの味。うまいといえばうまい。こんなことなら、酢醤油でも持ってくるんだった。


家に帰るまでに半分以上死んでしまったが、残りを居間にある水槽へ。ここには既にボラとハゼとカニとヤドカリという、実に地味な連中が飼ってあるのだが、もちろんボラもハゼも幼魚である。さぁ、新しい仲間だ、泳げ!にぼしくん!・・・しかし長男の期待もむなしく、やはりなじめずに二三時間ほどで全滅した。「やっぱり鰯は飼えんかぁ」とガッカリする長男を横に、私は「生のにぼしは、その場で食うに限るな」と思ったのであった。


疲れて眠たくてたまらんが、日焼け止めを手足に塗るのを忘れ、パンダみたいになりつつあるのだがとにかく今は腕が真っ赤で痛いという、たまにはこんな日記らしい日記でした。